2010年10月5日火曜日

岡山電気軌道のまぼろしの駅

臨時駅とか、仮乗降場とか、聞くとわくわくしませんか。私はします。超します。
北海道の仮乗降場全盛期には、残念ながら間に合いませんでした。今でも残っている板切れだけの駅はなるべく訪問するようにして、気持ちを慰めてはいますけれど、むかしむかしは、さらに「中間線路班」なんてのもあって旅客の便宜をはかったこともある……なんて聞くと、みたかった~としみじみ思います。

今でも全国には臨時駅はいくつか残っています。どの駅も佇まいが独特で、好きです。
会津鉄道では、六地蔵尊臨時駅を昨年、今年と開設しました(今年の名称は「一ノ堰六地蔵尊」駅)。行きそびれてしまいましたが、こういう「幻の駅」って、いいですよね……(ため息)。

ところが、良い子にしていたご褒美なのか(うそ)、偶然にも私、幻の臨時駅に降り立つことができたんです。ええ、ついこないだ。

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10月3日日曜日。
岡山市内のホテルを朝早く出て、ハレカカードを片手に、岡山電気軌道を乗り歩きます。全線でもわずか5キロ程度しかないので、元気があったら、全駅写真撮れるかもーなんて思ってたのですが、天気があいにくよくありません。
まずは、岡山駅前から清輝橋駅に向かいます。運転士さん、女性です。あまりにもあっけなく終点に到着。電車の写真などを撮ります。

また、同じ電車で折り返し、柳川電停で乗り換えます。今度は東山線へ。乗客はさほど多くありません。無事座れてほっとしていたら、運転士さんが何か放送しています。実はあまりよく聞き取れなかったんです。でも、臨時、とか、停車、とか、聞こえます。なんだ??

電車は順調に進み、西大寺町を過ぎて、大きな橋を渡ろうとしたとき、電車は電停じゃないところで停まりました。そして、ドアを開けます。降りていく人が何人かいました。
ふと見れば、橋のたもとから川沿いにかけて、大規模な朝市が開催されていました。
ここで、思い出します。そういえば、岡山電気軌道には、朝市の日だけ開設される臨時駅がある、という話を。

あわてて周囲を見渡しますが、駅名らしき「京橋」が書かれた看板は見つかりません。けど、路面電車の駅なんて、ホームも看板も無いケース、いくらでもありますものね。

しかしこれはラッキーです。まずは東山まで行き、帰りにここで降りてみようと決めます。

電車は発車。朝市はかなり盛況。なるほど、これは多くの人が訪れるでしょう。橋を渡り終えて、小橋、中納言とホームの無い駅を二つ過ぎます。路面に緑色の枠があるだけ。しかも両駅のあいだは、100mほどしかありません。これも帰りに撮ろう。
というわけで、まずは東山まで乗り、完乗。


興奮したのか元気だったので、歩いて線路沿いを戻ります。門田屋敷駅を撮り、ちょっとコンビニに寄ってから、中納言駅を撮ります。とはいえ、路面の緑色を撮っただけですが。何も知らない人が見たら、単なる町並の写真であり、駅には見えません。
少し先の信号には、もう小橋駅がみえています。すごく近い。けど、私はすでに、土佐電気鉄道の一条橋駅と清和学園前駅の近さを知ってしまっています。デジカメの動画機能が30秒しかないのに、走って間に合うぐらい近くて。何度も往復しちゃった。あそこにはちょっと及ばないけれど、これもまた岡山電気のおもしろさの一つでもあります。



さて、さっきの京橋臨時駅で降りるには、小橋から乗らないといけません。路面からステップも何もない電車にえいやっと乗り込みます。そしてすぐに前方に向かいます。
今度は運転士さんのアナウンスがはっきり聞こえました。「本日朝市開催のため、京橋臨時電停を開設しています。」
というわけで、橋を渡るだけですぐに降ります。降りるとき路面をよく見たら、黄色の枠がついてます。これが駅か!


誘導員の方がいらっしゃってイベントらしい感じ。でも、駅らしさは……無いかな。看板も無いよなあ、と思って少し離れてみたら……ある!あるじゃないですか!


もう私、この一枚が撮れただけで超満足です。いひひ~

帰りももちろんここから乗ります。乗ろうと待っていたら、係員のおじさんが私に、三角形の紙片をくださいました。
岡山電気の運賃からすると、ここから駅まで乗れば140円です。でも、この紙片があれば、100円になるよ、ということ。

この紙片はどうやら、チラシとして配布されたものの隅っこに印刷されてたもののようです。地元の方なら、あらかじめ切り取って持参できたわけですね。なので、この紙片が貴重なもの、というわけではありませんが、私のようなものからすれば大事な記念です。

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さて、その日の晩、この電停について調べてみました。まだ出先でしたのでネットを中心に。

私はこの朝市、毎月第一日曜日にやってるのかな、なんて漠然と思ってました。月一のラッキーぐらいに。ところが、電停の開設は、毎年5月と10月の朝市に限る……らしいということがわかりました。!? 年に二日!? 
うわー、津島ノ宮や、六地蔵尊と同じとは。しかも、こちらは午前中だけ、という話なので、もっと短い? にほんいち?

この電停について詳しい情報は、それ以上見つけることはできませんでした。wikipediaの臨時駅の項目からも落ちています。
帰宅してから日本鉄道旅行地図帳で調べましたら、平成7年に開設された、ということはわかったのですが、休止、という扱いになっていました。うーん、ますます謎です。
じゃ、私はなんでこの電停のことをちらりとはいえ知ってたのかな、と本をいろいろひっくり返して思い出しました。
原口隆行著 JTBキャンブックス「日本の路面電車I」でした。ここに朝市のときだけ開設されるという話がちらっと載ってたんですね。ああ、ちょっとすっきりした。
ともあれ! 現在も盛業中です。全駅訪問を企む人にとっては、ハードル高いかもしれませんが、なかなか味わい深いので、ぜひチャレンジしてみてくださいませ。

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